第93回アカデミー賞 部門別受賞予想 作品賞編

2020年は新型コロナウイルスの影響で多くの映画が公開延期や、配信と併せて公開されるなど多くのことが起こった。映画館が閉館されるという悲しいニュースも飛び込んできたりしたが、それでもこうして、年に1回の映画の祭典の日を迎えることが出来る。こんな時だからこそ、映画の素晴らしさを伝えるのが「アカデミー賞」の役割であり、本当に、本当に微力ながら、僕も「アカデミー賞予想」という形で、アカデミー賞の面白さを発信したいと思う。

そんなわけで今年ノミネートされた8本の映画は御覧の通り。

『ファーザー』(6部門ノミネート)
『Judas and the Black Messiah』(5部門6ノミネート)
『Mank マンク』(10部門ノミネート)
『シカゴ7裁判』(6部門ノミネート)
『ミナリ』(6部門ノミネート)
『サウンド・オブ・メタル』(6部門ノミネート)
『プロミシング・ヤング・ウーマン』(5部門ノミネート)
『ノマドランド』(6部門ノミネート)

作品賞に候補入りしたすべての作品が5部門以上にノミネートされているのが大きな特徴だ。作品のタイプも実に様々でる。
次に過去5年間の受賞作品を見てみよう。

第92回:『パラサイト 半地下の家族』
第91回:『グリーンブック』
第90回:『シェイプ・オブ・ウォーター』
第89回:『ムーンライト』
第88回:『スポットライト 世紀のスクープ』

作品のタイプは様々だが、かなり作家性の強い作品が多く並んでいるのが特徴の一つ。その中で昨年の『パラサイト』は外国語映画で史上初めてオスカーに輝くという快挙を果たした。
続いて組合賞の結果を見てみよう。

2019年:『1917 命をかけた伝令』
2018年:『グリーンブック』
2017年:『シェイプ・オブ・ウォーター』
2016年:『ラ・ラ・ランド』
2015年:『マネー・ショート』

他の部門に比べると意外と組合賞の結果とオスカーの受賞作品が被っていないのが大きな特徴の一つ。ただし、昨年の『パラサイト』を除いては他の重要賞で受賞していることもあり、やはり前哨戦の結果は無視できない。

まず考えなければ作品賞ノミネート作品がどの部門に候補入りしているかである。作品賞を受賞するうえで欠かせないと言われているのは監督賞、脚本・脚色賞、編集賞である。ちなみに過去5年間の結果で言えば第91回の『グリーンブック』を除いては残りすべての作品は、これらの部門に候補入りしている。

ちなみに今年でその全てに候補入りしたのは『ノマドランド』と『プロミシング・ヤング・ウーマン』の2作品のみ。何の偶然か、2本とも女性監督の作品である。こういう部分からもオスカーが変わろうとしているのが見えるのが面白い。

そう、今回最も勢いのある作品は『ノマドランド』に他ならない。ヴェネツィア国際映画祭、トロント国際映画祭で頂点に輝き、いよいよ賞レースが始まると他の作品の追随を許さない圧倒的な強さで独走爆走。重要3賞も当然のように受賞。監督のクロエ・ジャオと共に受賞は堅いだろう。

「Inclusion Rider」と叫んだマクドーマンドが、クロエ・ジャオを監督に抜擢し、現代のノマドを描いたこの映画で頂点に輝く。綺麗なシナリオだ。作品自体もリーマンショックの影響で家を失った人を描いていて、新型コロナの苦境にいる多くの人にとって共感できるし、勇気を貰える作品になっている。2020年という年を象徴するこの映画が受賞最有力だ。

一方の『プロミシング・ヤング・ウーマン』だが、作品賞受賞は少し難しいだろう。もちろん作品評価が高いのは間違いないのだが、その評価は主演のキャリー・マリガンと脚本により集中しているし、何より本作はスリラー映画。オスカーは確かにこういった作品に対しても門戸を開いてきてはいるが、それでもまだスリラー映画を頂点に選ぶことはしない気がする(もちろん受賞の可能性は0ではない)。

『Judas and the Black Messiah』『ファーザー』『Mank マンク』の受賞はほぼほぼ無いと見ていいだろう。前哨戦でもそこまで目立った結果は残せていないし、もちろん作品評価はどれも高いがこれらの作品の支持は俳優の演技や美術・技術に集中している。

『ミナリ』はどうだろうか。ゴールデン・グローブ賞以降、勢いを増してきている印象ではあるが、さすがに2年連続で韓国語が大半を占めるこの映画がアカデミー賞が頂点に選ぶのかどうか。そこは気になるところではあるし、もちろんオスカーの掲げる「多様性」を示すうえでは重要ではあるが、作品の勢いであれば他に相応しい作品があるので、今回は厳しいだろう。

対抗馬になりうるのは『シカゴ7裁判』『サウンド・オブ・メタル』の2作品だろうか。どちらも作品評価は抜群に高いし、勢いもある。ちなみに昨年は重要3賞全てを制した『1917』を破ったのは俳優組合賞でアンサンブル演技賞を受賞した『パラサイト』だったが、今年もそれに当てはめるなら『シカゴ7裁判』には十分に勝利の可能性が有ると言えるだろう。

『ノマドランド』が恐らく作品賞に輝くだろう。苦境に立たされている映画界だけでなく、今を生きる全ての人々に勇気を与える本作がアカデミー賞に歴史を刻む日は、刻一刻と近づいている。

受賞予想→『ノマドランド』
個人的希望→『ノマドランド』

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中