第93回アカデミー賞 部門別受賞予想 主演女優賞

今年最も予想が難しいのがこの部門である。最有力と言われた候補者、そして重要3賞全ての受賞者が違うという、近年稀に見る混戦ぶりである。そんな年に名乗りを上げた5人の銀幕の「名華」たちはこちら。

キャリー・マリガン 『プロミシング・ヤング・ウーマン』(11年ぶり2回目)
ヴィオラ・デイヴィス 『マ・レイニーのブラックボトム』(4年ぶり4回目)
アンドラ・デイ 『The United States vs Billie Holiday』(初ノミネート)
ヴァネッサ・カービー 『私というパズル』(初ノミネート)
フランシス・マクドーマンド 『ノマドランド』(3年ぶり6回目)

この中で受賞経験があるのがヴィオラ・デイヴィスとフランシス・マクドーマンドの2人(ただしデイヴィスが受賞したのは助演部門)。プラスしてノミネート経験があるのがキャリー・マリガン。残り2人は初ノミネートである。
続いて過去5年間の受賞者である。

第92回:レネー・ゼルウィガー 『ジュディ 虹の彼方に』
第91回:オリヴィア・コールマン 『女王陛下のお気に入り』
第90回:フランシス・マクドーマンド 『スリー・ビルボード』
第89回:エマ・ストーン 『ラ・ラ・ランド』
第88回:ブリー・ラーソン 『ルーム』

ここ直近2年間は実在の人物を演じた女優が受賞している。またここ3年間はどちらかと言うとベテランの女優が受賞しているのが最近の傾向だ。
では最後に前哨戦で最も重要な組合賞の過去5年間の結果を見てみよう。

2019年:レネー・ゼルウィガー 『ジュディ 虹の彼方に』
2018年:グレン・クローズ 『天才作家の妻』
2017年:フランシス・マクドーマンド 『スリー・ビルボード』
2016年:エマ・ストーン 『ラ・ラ・ランド』
2015年:ブリー・ラーソン 『ルーム』

赤字にしたフランシス・マクドーマンド『ノマドランド』は今年も候補入りしている。そして賞レースが始まってしばらくは彼女が主演女優賞のフロントランナーと言われていた。実際、マクドーマンドは前哨戦で最も勝利を積み上げた女優だ。

彼女が演じるのは家を失い、ノマドとして暮らす女性。全編を通して彼女の見事な演技を堪能できる作品だ。加えて作品の評価は候補者5人の中では抜群に高い。もし受賞すれば主演女優賞3度目の受賞。これはキャスリーン・ヘプバーンに次ぐ単独2位の記録だ。今年の主演女優賞は彼女で決定かと思われていた。

ところがゴールデン・グローブ賞で大きなサプライズを起こす。マクドーマンドは受賞できなかった。受賞したのはアンドラ・デイ『The United States vs Billie Holiday』だった。彼女の前評判は確かに良かったが、受賞するほどのパワーがあるとは誰も思っていなかった。確かに実在の歌手を演じるという点ではかなりオスカー受けの良い役だし、ビリー・ホリデイというのはアメリカのショウビジネスの歴史を紐解いても重要な歌手だ。彼女の受賞もあり得るのではないかと言われるほど、勢いが増した。しかし、それでもマクドーマンド優位という見方は揺るがなかった。

続いて発表されたのはブロードキャスト映画批評家協会賞だが、ここを勝利したのはキャリー・マリガン『プロミシング・ヤング・ウーマン』だった。彼女もマクドーマンドと同様に賞レースを牽引した。復讐に燃える女と言う役は決してオスカー向きではないかもしれないが、多くの映画人の心を掴む見事な演技を披露しての候補入りだ。

そして組合賞が発表される。ここで勝利したのは何とヴィオラ・デイヴィス『マ・レイニーのブラックボトム』だった。彼女もまた実在の歌手を演じて、前評判は非常に良かったが、前哨戦ではあまり目立った結果は残せていなかった。ところがここで受賞して、一気に勢いが増した。これと同時に主演女優賞のレースは完全に混戦模様となった。

恐らく受賞の可能性は上記の4人。初ノミネートのヴァネッサ・カービー『私というパズル』は今回はノミネートこそが勝利だ。ヴェネツィア国際映画祭も受賞し、勢いもある女優さんだが、今回はさすがに相手が悪いか。それでも彼女はまだまだ若いし、大作映画への出演も続いている。今後候補入りする可能性は何度もあるだろう。

まずアンドラ・デイは受賞の可能性は低いと思われる。ビリー・ホリデイを演じた彼女の歌声は引き換え無しだし、その演技を称賛する声もあるが、作品評価はそこまで高くはない。前年のレネー・ゼルウィガーぐらいの勢いがあれば話が別だが、今回は難しいだろう。

ヴィオラ・デイヴィス、フランシス・マクドーマンド、キャリー・マリガンの3人が同じぐらいの可能性を持っていると思われるが、この中で受賞する可能性が高いと思われるのは、実はキャリー・マリガンである気がしている。この3人の中で、彼女だけが受賞経験が無い。『17歳の肖像』から11年、その間にも『わたしを離さないで』、『ドライヴ』、『SHAME』、『未来を花束にして』、『マットバウンド』など多くの作品で活躍してきた彼女だが、そもそも上記にあげた作品分だけノミネートしていてもおかしくない実力があったのだ。私個人的にも一番受賞して欲しいのは彼女だ。

現状を考えると組合賞を受賞しているヴィオラ・デイヴィスが一番有利かもしれない。でも作品の勢いを考えればマクドーマンドが受賞しても不思議はない。一体どうなるか。封が開けられるその瞬間が楽しみだ。

受賞予想→キャリー・マリガン 『プロミシング・ヤング・ウーマン』
個人的希望→キャリー・マリガン 『プロミシング・ヤング・ウーマン』

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