第93回アカデミー賞 ノミネート紹介 作品賞

『ファーザー』(6部門ノミネート)

舞台をベースにした映画化で、監督も舞台版と同じ。そしてこれが長編映画監督デビュー作品。アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマンというキャスティングにも恵まれ、6部門ノミネートを獲得。認知症を患った父親とそれを支える娘の物語。

『Judas and the Black Messiah』(5部門6ノミネート)

アフリカ系の映画作品は他にも有力作品はあったものの、結果として作品賞にノミネートされたのはこの映画だけとなった。ダニエル・カルーヤは助演男優賞最有力。実話をベースにした作品。ブラックパンサー党の指導者フレッド・ハンプトンと、ブラックパンサー党に潜入捜査として入った男の物語。骨太。

『Mank マンク』(10部門ノミネート)

勢いがないだの、色々言われたものの気が付けば最多10部門のノミネートを獲得。ただし、編集賞、脚本賞は落としてしまった。モノクロの映画で、『市民ケーン』製作にまつわる逸話の映画化。かなり映画玄人向けの作品だが、それでもこの映画をハリウッドは愛した。

『シカゴ7裁判』(6部門ノミネート)

60年代のシカゴ7の裁判を描いた、これまた骨太な映画。アンサンブルキャストの演技も見応え十分。『ノマドランド』の対抗として期待され、脚本賞も、編集賞も候補入りしたにもかかわらずまさかの監督賞落選。ここに来て少し勢いが落ちてきてしまったか。

『ミナリ』(6部門ノミネート)

アカデミー賞が掲げる「多様性」に最もマッチした作品と言われる映画。しかし、本作は純粋に「素晴らしい映画」として多くの賛辞を集めている。編集賞を落としてしまったのは痛いが、『ノマドランド』の次に勢いのある作品は間違いなく本作だ。

『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(6部門ノミネート)

聴覚を失ったドラマーを描いた作品。多くの激賞を集め、オスカーに参戦。スター俳優が出ているわけでも、有名監督がいるわけでもない。それでも勝ち取った6つのノミネート。本作はそれだけの評価を受けているのだ。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』(5部門ノミネート)

作品賞を制するには監督賞、編集賞、脚本部門に候補入りすることが必要であると言われている。今回、その全てを満たしているのは女性監督作品のみと言うのは、従来では考えられなかったが、素晴らしいことだ。女優エメラルド・フェネルの監督デビュー作品は復讐に燃える女の物語。オスカー受けする作品ではないが、それを撥ね退けてのノミネートは大きな意味がある。

『ノマドランド』(6部門ノミネート)

アジア人女性が監督した、ノマドの女性の物語。賞レース開幕前にヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、その後も賞レースを独走。勝利を山を積み上げた。間違いなく、堂々たるフロントランナー。オスカーの歴史が大きく変わる瞬間が、近づいている。

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